第15章 そんなふたり(岩泉 一)
病院に着くと、入口のところでちょうどやってきた松川と鉢合わせた。
「まさか、お前も及川に呼び出されたのか?」
岩泉が聞くと、彼は頷いた。
「でも良く分かんないんだよな。とにかく来てって言うばかりでさ。大したことなければいいけどな。」
「ああ、俺もそんな感じだったわ。大したことじゃなかったら、大騒ぎした及川をぶん殴って帰るだけだ。」
エレベーターに乗って彼女の病室のある階で降りる。
二人とも、もう何度も見舞いに通っているので慣れたものだ。
ナースステーションの前の談話室にいた及川が、二人を見つけて出てきた。
「二人とも遅い!こっちこっち。」
岩泉と松川はぐいぐいと及川に引っ張られて談話室に連れ込まれた。