第2章 ハッピーアンブレラ (日向 翔陽)
翌日。
「日向おはよー。」
教室に入ると、早川が声をかけてきた。
「おはよ。昨日はありがとう。助かった。」
「いえいえ。自転車なおった?」
「それがさー、昨日母さん自転車屋さん行ってなくてさ。今日も走ってきた。」
「走って!?信じらんない……すごいね。」
早川は目を丸くしてみせた。
俺は席について鞄から教科書を出しながら話す。
「まあ、トレーニングも兼ねて。
今日は晴れてるし、早川も部活できそうでよかったな。」
「え、日向知らないの?今日も午後から雨だよ。」
早川がスマホで天気予報を見せてくれた。
「マジで……。」
「もしかして、日向今日も傘持ってない?」
俺の心を読んだように早川が苦笑いする。
「……うん。今日は部活の奴に入れてもらうかなー。」
俺がそう言うと、早川は意外な提案をしてきた。
「今日も一緒に入ってく?
あのバス停、ちょうど通り道なんだよね。」
「ありがと。じゃあ部活終ったら教室で待ち合わせでいい?」
彼女が笑顔で了解してくれて、俺は顔がゆるむのが自分でもわかった。