第13章 とうふの日(菅原&岩泉)
「副主将って何年前のはなしだよ。」
岩泉は苦笑いする。
「いいじゃんいいじゃん。そういえば及川は?東京で元気にやってんの?」
「あー、多分な。夏に帰ってきたときに会ったきりだけど。」
「あんまり連絡取ってねえの?」
「そうだなあ。1年の頃はうるせえくらいに電話やらメールやらあったけど、最近はそうでもないな。
向こうで充実してるってことだろ。」
「まあ、お前と及川って切っても切れない縁みたいなのありそうだしな。
なんだかんだでずっと仲良くやってそう。」
「俺はそんなこと一ミリも望んでないけどな。」
「照れんなってー。」
そろそろこの話題めんどくさいな、と岩泉が思い始めたところで、タイミング良く料理が来て会話が中断された。
「彼女は元気なのか?名前忘れた、えーと、なんだっけ。」
話題を変えるために、岩泉は自ら口を開く。
「ん?ナギか?元気元気。早川凪沙な。そんな覚えにくい?」
「いや、お前がナギナギ言うから、本名が頭に定着しねえんだよ。」
「あー、そっか。確かにそうかも。」
麻婆豆腐を蓮華ですくう。
「岩泉も食べる?」
「いや、いい。俺はこれがあれば。」
揚げ出し豆腐の皿を手に取る。