第13章 とうふの日(菅原&岩泉)
「相変わらずビール苦手なのか?」
「そうだなー。あんまり好きじゃないな。飲めと言われれば飲めるけど。」
あたたかいお手ふきを広げると、湯気がほわっと立ち上る。
「焼酎とかは?」
「あんまり飲まないなー。サワーは飲むけど。最近はハイボールもおいしい。岩泉は焼酎好きだよなー。」
お手拭をたたんでから、菅原はメニューをテーブルの端に立てた。
「そういえばお前いつも炭酸ばっかだな。俺は大抵ビールか焼酎。甘いの飲みたくねえんだよ。」
なるほどなー、と菅原が相槌を打ったところで、
飲み物が運ばれてきた。
「んじゃ、かんぱーい。」
「おつかれー。」
グラスを鳴らして乾杯をしてから、二人は同時に口をつける。
「岩泉って結構強いよなー。」
コースターの上にグラスを置いて、菅原は話し出す。
「普通じゃねえの。飲みすぎればつぶれるし。
菅原だって弱くはないだろ。」
「そうだけど、俺すぐ赤くなるからさー。
岩泉は顔色変わらずに飲んでるから羨ましい。」
岩泉も半分ほど飲み干してから、グラスを置いた。
「いや、赤くならないから強いと思われてガバガバ飲まされるのも辛いぞ。」
「あー、そういうパターンもあるか。」
妙に納得しながら割り箸をパチンと割る。
「あ、これおいしい。」
お通しの湯葉春巻きを食べて菅原が声を漏らす。
「ここはなんでもうまいよな。」
「そうそう、俺と岩泉のおとうふくしゅしょうコンビ御用達だからな。」
菅原はそう言ってニッと笑ってみせる。