第12章 裏路地のうさぎ(福永 招平)
「福永。」
今度は研磨が話しかけてきた。
珍しい。こいつも俺と同じで口数は少ない方だから。
「これ、部室に忘れてたよ。」
振り向いた俺に、研磨はスマホを差し出した。
「ありがとう。」
「うん。」
LEDがチカチカ光って何かを通知していたが、
その場では確認せずにポケットに突っ込んだ。
皆と別れてから、俺はスマホを取り出す。
予想通り、通知はナギからのメッセージだった。
「しょーへー、部活おつ。
今夜は10時くらいにいつものとこにいます。
もし暇だったら来てね。」
俺はそれを読んで、胸がくすぐったいような、
くるしいような不思議な気分になった。