第12章 裏路地のうさぎ(福永 招平)
「福永、もっとしゃべれよー。」
部活が終わってみんなで学校を出るとき、山本が俺の背中をどついてきた。
「うん。」
俺はそう返事をしたけど、なんだよーと不満そうだ。
そんな彼は、
まあいつものことだけど、
と言いながらなぜか俺にガムをくれて、犬岡の方へ走って行った。
別に山本のことが嫌いなわけじゃない。
むしろ良い奴だと思う。
ただ単に俺がおしゃべりじゃないっていうだけの話だ。
バレー部のみんなも、そんな俺のことをからかったり責めたりしない。
ありがたいことだ。