第10章 きまぐれロマンティック(月島 蛍)
「あのね、凪沙。僕たちもう高校生でしょ。わかるよね。」
子供に言い聞かせるように凪沙に向かう。
「うん。」
「子供の時みたいに、一緒にお風呂入ったり、寝たりはもうできないの。
だから凪沙はここでは寝ない。
分かったら母さんたちのとこに行きなさい。」
「うん、寝ないよ。
蛍君と一緒に布団にくるまってごろごろするだけ。」
無邪気にそう言ってのける凪沙に、僕は頭を抱えたくなる。
「だから……。」
「じゃあ明光君のとこに行こうっと。」
「それはもっとだめ。」
「どうして?」
「どうしても。」
「もう、蛍君わがまま。」
そう言ってため息をつく凪沙。ため息つきたいのはこっちなんだけど。