第2章 野郎だらけの勉強会
先輩の顔をチラ見しながら、赤みが引けるのを待っていると、2階から廉が降りてきた。
「なぁめぐみ〜…なんで慰めに来てくれねぇんだよぉ〜!」
「は?」
「は?」
あまりの馬鹿さ加減に、思わず笠松先輩と声が重なった。
「なんだ、こいつ?」
「なんでしょうね……。」
「おい!めぐみは俺の味方だろ?な?めぐみさん?」
私の背中にまとわりついてくるこの馬鹿を振り払おうとしたその瞬間、
「野郎がベタベタ触んじゃねぇ!気色ワリーんだよ!テメェ、黄瀬か!!」
と、笠松先輩が廉の手を大きく振り払ってくれた。
すると、「なんスかキャプテン、それじゃ俺まで気色わるいみたいじゃないッスか!!」
って、なんか大きな金髪くんが団体の輪から、こちらへとやってきた。
「あれー??君はたしか生徒会の………」
「玉利です。」
「そうそう!めぐみちゃん!!」
な、なんで下の名前知ってんのよ……
チャラそうだから、わざと言わなかったのに。
「おい、黄瀬!テメェはうるせぇから、あっち戻れ。」
「なんでなんスか。どっちかっていうと笠松先輩の方が煩いと思うんスけど……。」
…まぁ、確かにどちらも煩いけど、バカ廉よりはマシかな?
「てか、めぐみ〜ぃ。部屋戻ろうぜ。今度は化学教えてくれ。」
ハァ……
「わかったから、静かに勉強してね。」
「えっ!いいなぁ〜…俺もめぐみちゃんに教えてもらいたいッス!!『イヤです。』
「えっ?!」
「ブッ!」
だって、チャラいし、煩いことには変わりないんだもん……。
「ちょ、はやくないスか!食い気味とか凹むんスけど……」
「あははははっ、お前、…最高だなっ!」
あからさまにガッカリされると罪悪感あるんだけど……
そんな黄瀬くんの左で大爆笑してる笠松先輩を見て、
この人こんな風に笑えたんだな。
なんて、失礼なことを考えていると、
「なぁ!メアド教えてくれよ。また話そうぜ。」
まだ笑い足りない、といった顔の笠松先輩に、ガラケーを差し出された。
私ですら、最近スマホに取り替えたというのに、この時代に、
未だにガラケーを使う高校生が残っていたことに感動し、つい勢いで、連絡先を交換した。