第9章 初恋はウソの味
廉side
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「やべぇ!遅刻する!」
ばあちゃんが【カメラがない】とか家を出る直前に言い出すからこういうことに!
俺は家族に見送られながら、一心不乱に校庭から教室へと走った。
式自体はまだ時間はある。
だけど、その前の各クラスごと廊下に整列するための集合時間は、既に10分過ぎていた。
でも、大丈夫だろ…。
家族が後ろに見えなくなってから俺は、早歩きへと切り替えた。
「D組、D組……」
あった!
やっぱりまだマトモに並んでねぇじゃん。
俺、セーフ♪
「ちーす!」
「なに?三嶋じゃん!!」
「え?廉も同クラ??」
「マジいいなぁ〜!俺もD組がいい!隣から机と椅子持ってくるからさぁ〜!」
「おう!俺もD!またヨロシクな!」
俺は、小学校のとき同じクラスで、また同じクラスになった前田と辰巳に声をかけた。
「永井はCだっけ?」
俺は、ひとり項垂れている永井の頭に、ポンと手を置いた。
三人とも俺の小学校時代のバスケ部仲間だ。
因みに俺は、六年のときキャプテンにしてエースとしてチームのみんなから期待もされてた。
だけど、特にバスケを続ける気ってのは、今のところ、ない。
もともと三人に誘われて始めただけだし、特に好きだったわけじゃねぇからな。
部活はやりてぇけどなぁ〜…。
「整列!出席番号順に、新入生並んでくれ。」
あ、あの人担任かな?
なんだよ男かよ。
若い新人の女のセンセかと期待してたのに。
…あれ?めぐみは?D組だったよな?名簿に名前……じゃねぇ。新入生代表で挨拶とか言ってたな、この間。」