第8章 想っているから。
「美味しい!やっぱりソフトクリームはバニラだよねぇ〜。」
「……………」
なんかさっきから廉が、変だ。
黙々とチョコ味のソフトクリームを、真剣な顔をしながら食べてる。
「………………」
「ねぇ、……それ美味しい…?」
「……………」
「…えいっ!」
ソフトクリームを廉の手元から奪う。
「へっ?な、なにすんだよ??」
「なにかあったんでしょ…?いつもみたいに引っ付いてこないし、うざい感じがしない。…ん?チャラい感じかな…?」
「…俺ってそんなにうざい??;;」
ん?
なんか焦ってる??
いつも言ってる言葉じゃんか。
………
「…ねぇ、もしかして、気になってる子にでも言われたの…?」
「……………」
黙ってるけど、耳が赤くなってるよ。
図星かぁ……。
「…どんな人?廉の好きな人って。」
…いままで廉の好きな人の話とか、そういえば聞いたことないな……。
「…………俺が好きな人は…」
なんだか緊張するな……。
こんなに真剣な廉、初めてみる。
「………いつも一緒にいて、俺のことが好きじゃないヤツだよ。」
「はい…?両想いになる見込みゼロじゃん…。」
…廉は、根は優しいすごいいいヤツだから、幸せになってほしいのに……。
いつもクラスでどんなに私が孤立しようが、構わず話しかけてくれた、最強にいいヤツなのに…。
「その人だれ?…私が協力する。…廉のこと、その人が好きになるように。」
「…いや、いいよ。そんなことしなくて。……てか、今のでわかったし……」
「なにがわかったの……?」
廉は、すっかり落ち着きを取り戻していて、私がひとりで怒ってる状況だ。
「…俺ってさ、…自分の気持ちに鈍いみたいだわ。」
…知ってるけど、それは…廉の優しさでもあるでしょう?
「…いつも、優しいからっ、鈍くなったんだよ……。」
なぜか、私の目から涙が溢れだす。
「…泣くなよ〜。普通逆だろ?俺に泣かせてくれないわけ??」
そう言って笑う廉は、いつもの廉に戻っていた…。