第8章 想っているから。
廉side
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一通りめぐみが泣き止むのを待って、俺たちはまた夏祭りの喧騒の中を歩き出した。
俺のために流してくれたあの涙が、俺たちの絆と、めぐみの気持ちを物語っていたと俺は思う。
それでも、……きっと、
俺が告白していたら、
めぐみは断っていたと思う。
…好きな人を偽れるほど、めぐみは器用じゃない。
俺にできることは、めぐみの笑顔を守ることかもしれないな…。
「ねぇ、あれ楽しそう!」
「そうだな!じゃあ、多く取ったほうが、カキ氷奢りな!」
「…いいよ?射的は負けないからっ。」
ニコッと微笑むめぐみの笑顔は、少し幼気を帯びていて…俺の胸の奥を、あたたかくさせた。