第7章 後悔は、先には立ってくれない。
「…おっ、俺も、参考書、買おうと思ってな。
ちょ、ちょっと数学でわからねぇとこがあんだよ。」
チクショー……
うまく出てこねぇ言葉にイライラする。
そんな俺を真っ直ぐに見つめてくる、玉利めぐみ。
「…笠松先輩、ひょっとして、女性、苦手なんですか?」
なっ…?!
なんでわかるんだ?!こいつ…;;
「…………嗚呼。…よく、わかったな。お前…//」
まぁ…、いいか。
内心、俺は事情を知られたことで、驚いたと同時に、もうこいつには、気を遣わなくていいんだと思うと、ホッとした。
「…嗚呼、私も、人見知りなんで。それに!部活のときとか、試合のとき、先輩普通に部員にも、相手校の選手にも、接してるように見えたので……。」
…前にも思ったが、、
こいつ、よく俺のこと見てんなぁ……
そんなとき、ありえねぇ考えが一瞬頭をよぎる。
イヤイヤイヤ!//;;
それはねぇ!/;;
絶対、ありえねぇ!///;;;
焦りを抑えて隣を見ると、玉利の頬が赤くなっていることに気がついた。
以前、後輩と居たときも、こいつは俺を気遣うような素振りを見せていたことを思い出した。
こいつなりに、俺のことを考えての言葉なんだろう。
「……ありがとな。/」
滅多に言わないその言葉と、ろくに話したことはなくても、いつも試合で応援してくれているこいつの姿を思い出し、俺は照れ臭くなった。
「なぁ……、そういえば、こないだの礼、お前に言ったんだぞ?なんか、隣のやつに返事されたけど。」
…あ、こいつわかってねぇな?
思案顔で黙り込む玉利。
少ししてから、表情がハッと切り替わった。
「そうだったんですか?…私はてっきり、佐藤さん。…あー、あのとき隣いた後輩の子に、言ったんだと思ってました。」
「ったく……、んなことだろうと思ってたよ。」
…なんとなく、こいつから出た言葉は、すべて自然なものに思えたから、
こいつとっては、特別になにかってわけじゃないような気がしていた。
「……なんか、すみません。」
潤んだ瞳で見上げられながら、そんなことを急に言われたせいで、
俺は、自分でも顔が赤くなったのがわかるくらいに、
全身が熱くなった。