第7章 後悔は、先には立ってくれない。
笠松side
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全身の火照りが収まってきた頃、2階からチャラそうな野郎が降りてきた。
「なぁめぐみ〜…なんで慰めに来てくれねぇんだよぉ〜!」
「は?」
「は?」
なにこいつ、いきなり玉利のこと呼び捨てで呼んでんだよ?!
「なんだ、こいつ?」
玉利に聞いてみる。
「なんでしょうね……。」
冷めた言い方してるが、実際は仲が良いんだろう。
「おい!めぐみは俺の味方だろ?な?めぐみさん?」
相手の野郎のリアクションが、それを物語っていた。
そいつがいきなり、玉利の背中にベタベタと触れ始めた。
………なんなんだよ?
なんかスゲー…
イラつく。
次の瞬間、
「野郎がベタベタ触んじゃねぇ!気色ワリーんだよ!テメェ、黄瀬か!!」
俺は、そいつの手を大きく振り払っていた。
すると、「なんスかキャプテン、それじゃ俺まで気色わるいみたいじゃないッスか!!」
ついさっきまで向こうにいた筈の黄瀬が、騒ぎを聞きつけて、こちらへとやってきた。
「あれー??君はたしか生徒会の………」
「玉利です。」
「そうそう!めぐみちゃん!!」
なんで知ってんだよ……;
「おい、黄瀬!テメェはうるせぇから、あっち戻れ。」
「なんでなんスか。どっちかっていうと笠松先輩の方が煩いと思うんスけど……。」
「てか、めぐみ〜ぃ。部屋戻ろうぜ。今度は化学教えてくれ。」
…は?
そういやこいつ、2階から降りて…
「わかったから、静かに勉強してね。」
いいのかよ…
「えっ!いいなぁ〜…俺もめぐみちゃんに教えてもらいたいッス!!『イヤです。』
「えっ?!」
「ブッ!」
「ちょ、はやくないスか!食い気味とか凹むんスけど……」
「あははははっ、お前、…最高だなっ!」
黄瀬の奴を、出会ってすぐに一刀両断する女なんて、初めてみたぜ。
なんだよ、っふ…
ひとしきり爆笑すると、玉利と視線が合う。
……もっと、話したい。
「なぁ!メアド教えてくれよ。また話そうぜ。」
正直まだ笑い足りなかったが、俺のなかでは、それよりも玉利への興味の方が勝っていた。
まさかこのときは、自分でも、想像もしていなかった。
玉利に、触れたくなるなんて。