第7章 後悔は、先には立ってくれない。
笠松side
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テスト週間に入るため、部活が禁止される前の、最後の部活の帰り道、バスケ部の連中と、近所の安い定食屋に入った。
そういや、数学で欲しい参考書があんだよなぁ…
帰り、隣の本屋寄るか。
「…俺、肉すき定食……。」
メニューを見て、それから店員に注文しようと顔をあげると、笑顔のバアさんが注文を受けてくれた。
なにやらウチの高校に孫が通っていると言う。
「お孫さん、何部ッスか?」
黄瀬が相変わらずのチャラさでバアさんに聞くと、
「なにやらせても、上手なんだけどね〜。なんにもやりたがらんのよぉ〜…。」
「へぇ……」
「まるで昔のお前みてぇだな。」
黄瀬の顔を見ながら、言ってやる。
「なんなんスか?先輩たちみんなして俺の顔見て!」
「ふっ」
バカだな、こいつ。
マジでわかりやすい。
ーーー40分後ーーー
腹もいっぱいになったし、俺たちは隣の本屋へと入った。
なかへ入ると、
レジの向こうには、いつも優しそうな定番店主の親父さん。
そして……
教科書や参考書のコーナーの前には、
玉利めぐみ。
……そういや、ここの本屋、【玉利書店】だったな。
ふと軽く覗き込むと、日本史の参考書を手にしている…。
「……勉強熱心だな。」
この間みたいに、第三者がいねぇからか、それとも向き合っていないからか、意外にも俺は、すんなりと話しかけることができた。
とはいえ、声は思ったよりは出てこなかったが…。
「…ど、どうも。」
今回はちゃんと本人から返事が返ってきて、なんだか安心する…。
って、そりゃそうか。;;
振り向きざまに俺を見上げたその瞳は、
想像していたよりも、ずっと澄んでいて、
俺の瞳を、真っ直ぐに捉えていた。