第7章 後悔は、先には立ってくれない。
笠松side
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俺の話をしたあと、わりとすぐに体育館をあとにした玉利めぐみと後輩たち。
……挨拶もナシかよ。
けど…、
玉利めぐみが、軽く一礼してから出て行ったのだけは、わかった…。
「今年の一年は、いまのヤツらといい、黄瀬といい、鍛え直さねぇとダメだな…。」
まぁ……、あいつらはいかにも文化系って雰囲気だったが。
つうか……
「ハンカチ……」
さすがに持ち歩かねぇからなぁ……
しゃーねぇ。
取り敢えず、礼だけ言っておくか。
体育館を出ると、裏門の方角に下校しようとしている女子生徒の姿が2人見えた。
部活の時間がとっくに終わっているとはいえ、校庭にはまだ僅かに学生の姿があった。
なんとなく雰囲気であいつと、さっきの後輩だとわかった。
急いであとを追う。
あいつらの顔を、完全に視界に捉えた頃、
「準備できた…?」
「はいっ」
自転車を押しながら、後輩の方が歩き出した。
「なぁ!」
背中越しに声をかける。
「……はい。」
そう俺に返したのは、玉利めぐみの方ではなく、後輩の方だった。
「………………」
思わず、口ごもる……。
…面識はあるが、話したことはねぇ。
それに……
「…あんたじゃなくて…………」
「…ん?」
そう!お前だ、玉利めぐみ。
クソッ;;;
上手く声が出ねぇ。
あきらかに、あいつらが困惑してるのが伝わってくる。
取り敢えず、礼だけ言わねぇと…
「……………」
沈黙が続く。
やっとの思いで、俺は言葉を捻り出した。
「……さっきの!サンキューな!//」
けれど…
「…………は、はぁ…」
帰ってきたのは、
玉利めぐみの声ですらなく…
俺に対し、完全に引いた、後輩の声だった……。