第6章 君の壁を壊す
廉side
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「可哀想だなぁ〜、今年もうちの手伝いなんてなぁ〜…なぁ!廉ちゃんよぉ!!」
「いってぇよオジさん!てか、悲しいとか絶対思ってないだろっ」
「いやいやいや!!」
わざとらしく手を大きく振って否定するオジさんは、全く俺に対して可哀想だなんて思っちゃいねぇって顔だ。
その証拠に、すぐに顔が笑顔に変わる。
俺をからかってんのは、わかってる。
悔しいが、彼女ができたことすらない俺は、なにも言い返すことができない。
黙った俺を見て、オジさんが変なことを言い出した。
「めぐみちゃんはどうだ?」
…………は?
「いやいやいや!!;;;なに言っちゃってんの?ボケが始まっちゃったの?オジさん。」
俺とめぐみは、ただの幼馴染みだ。
「ボケはまだだい!老眼は始まってるがな。あーはっはっは!」
「あと、ハゲも始まってるもんな?」
「おっ!うめぇーこと言うんじゃねぇぞ廉ちゃん!」
「だってそうじゃんか。」
「あははは!そりゃそうだ!!あーはっはっは!でも、…あっかもしんねぇぞ?ウチの圭子とギンちゃんとこの倅だって、そうだろ???」
「……ん。知ってるよ、それは。」
オジさんの一人娘、圭子さんは、俺らの10歳上で、
ここから徒歩5分のところにある酒屋の【ギンちゃん】
の倅と、去年結婚した。
……ふたりは、幼馴染み。
俺とめぐみが、圭子さんとタカさん(圭子さんの旦那さん)と一緒??
そんなことはねぇ。
……だいたい、めぐみは圭子さんのように綺麗でもねぇし、どっちかっつーと可愛い系だ。
……………別に、
可愛いと思ったことはないが……。