第6章 君の壁を壊す
「なんだろう…?」
合宿2日目が終わり、自分の部屋で荷物整理をしていたら、携帯がバイブした。
笠松先輩からメールだ。
ーーー
合宿の翌日、祭りに一緒に行かないか?
ーーー
たったの、一文。
なのに、…全身が熱くなる。
お祭りって、多分、私の家の通りでやるヤツのことだよなぁ……
このお祭り自体は、毎年ある。
だけど私は…………
……廉としか、廻ったことがない。
去年、沙奈江さんを誘ったら、
「なんで、わざわざ人が集まるとこに、行かなきゃいけないの?」
って返された。
インドアな沙奈江さんらしい返事だと、思ったものだ。
……けど、自分の家の向かいにも、わたがし屋が、毎年出るほど、身近なお祭りだ。
……過去に誰も誘わず、毎年、ただ廉と一緒に過ごそうとした訳じゃない。
…………初恋の人を、
たった一度だけ
自分から誘った。
最初で最後の、
…恋だった。