白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第24章 ★灰色の黄色の交戦★
朔夜『お帰りなさいませお嬢様。花宮様から連絡が...おや、一緒だったのですね。お帰りなさいませ花宮様』
花宮『どーも』
花宮『わりぃな、風呂借りた』
『いいよ』
タオルで髪を拭きながら零蘭の部屋に戻ると、机にノートを広げ黙々と文字を書き込む姿があり、花宮はそっと後ろから覗き込んだ。
花宮『何してる』
『明日の作戦。涼太とは練習試合以来だから、確実に強くなってる。今日の試合見てもそう感じたから絶対に油断はできない』
コンコン
朔夜『失礼致します。お嬢様、ホットミルクをお持ちいたしました。どうかご無理をなさってはいけませんよ』
『ありがとう朔夜』
二人には目もくれず作業を続ける零蘭に朔夜は心配そうに見つめると、傍らに立つ花宮にそっと話しかけた。
朔夜『花宮様、少々宜しいですか?』
花宮『どうした?』
朔夜『お嬢様、最近ずっとあのご様子で。大会中なので戦略を立てる事は確かに大切ですが、こう立て続けに夜更かしされているとお体に障るので、何度も声掛けをしているのですが』
花宮『中々言うことを聞かないと?』
朔夜『はい...最近のお嬢様は前より痩せ細っている気がするのでとても心配なのですが、私共がいくら言ったところで流されてしまいます。ですからどうか、花宮様からも言ってはいただけないでしょうか?』
零蘭を見つめる瞳が本気で心配していることを悟った花宮は呆れたようにため息をつくと、分かったと了承した。
朔夜『ありがとうございます。それでは失礼致します』
朔夜が去ったことにも気がつかない零蘭をそっと後ろから抱き締めると、驚いたのか少し体を震わせ顔だけ振り向いた。
『なあに?』
花宮『一時間だけだ。一時間経ったらもうそれはやめて寝ろ、いいな?』
『....』
花宮『返事は?』
『はーい....』
不服そうに返事をした零蘭の頭を一撫でし、本棚から2、3冊拝借すると、ベッドに腰かけ読み始めた。
一時間後
花宮『零蘭、時間だ。終われ』
『待って、もうちょい練らせて...っきゃ!』
まだ机にかじりつこうとする零蘭を強引に引き離すと、軽々と持ち上げベッドへと運んだ。