白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第24章 ★灰色の黄色の交戦★
黄瀬『はっ、誰が...じゃあこれなら仲良く出来るんじゃないっすか?スタイルが全然違う』
放たれたボールは緑間を彷彿とさせるような大きな軌道を描き、リングにかすることなくゴールした。
会場全体に歓声が響き、目の当たりにした誠凛は目を見開いて驚愕した。
火神『キセキの世代のコピーだけは出来なかったはずじゃ...』
笠松『(克服したのさ。だがキセキの世代の技は本人ですら体への負担が大きい。いいとこ5分)』
黄瀬『女だの肩書きだの欲しけりゃやるよいくらでも。そんなことより大事な約束があるんすよ、俺には』
笠松『(今の黄瀬は5分だけ、キセキの世代の技全て使える。完全無欠の模倣!!)』
黄瀬『必ずそこへ行く...邪魔すんじゃねーよ!!!』
神々しくも感じる鮮やかな黄色の燐光が強く輝いた。
青峰達の技を駆使し、怒涛の追い上げを見せる黄瀬に対し、流石の灰崎もキセキの世代の技を奪うことはできず、次々と点を決められ更にシュートも圧倒的ブロックで止められていく。
黄瀬『1つ言い忘れたっす。女はいくらでもやるって言ったけど、あの子は...零蘭っちだけは渡さねぇ。あの子は俺の知らない感情を沢山教えてくれた、バスケの楽しさを教えてくれた俺の女王様。もう二度とあんな悲しい顔なんかさせねぇ!』
灰崎『ちっ...!!(認めるしかねーな。リョータ、テメェは強い。ならもうどうなろーが知んねーよ....!!)』
次の瞬間、灰崎はドリブルで黄瀬をかわしながら黄瀬の足を踏みつけた。黄瀬が足を痛めていることに気づいていた灰崎は審判も気づかない一瞬の隙をついたのだ。
灰崎『終わりだ!!!』
黄瀬『言った筈っすよ、邪魔すんじゃねぇって!!勝つのはお前じゃない、俺だ!!』
痛めた足を踏まれながらも、黄瀬は灰崎のボールをカットすると、とどめと言わんばかりの豪快なダンクを決め、75対72で海常の勝利に終わった。
フウッと息を吐くと、黒子達のいる観客席に向けグッと拳を突き出した。
黄瀬『(勝ったっすよ、黒子っち火神っち。.....それとやっとカッコいい所見せてあげられた。今日のこと褒めてくれるっすか?零蘭っち)』
すがるような表情で見上げる黄瀬を、零蘭は返事代わりに優しく微笑んだ。