白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第24章 ★灰色の黄色の交戦★
紫原『白ちんより強いってのは、半分本心だったよ。いつまでもあの時のままじゃないって、確信はあったし下に見られたくないって思ってた。でもそれよりもっと深く思ったのは、なんで陽泉じゃなくて誠凛に行っちゃったわけ?』
『私は、貴方達と向き合うために、あの日の罪を償うために敢えて離れたの。敵として、ぶつかる事で変わるかもしれないって思ったから。バスケで失ったものは、バスケで取り返さないと』
ね?と小さく笑い掛けると紫原は僅かに顔をしかめ、その長い腕で零蘭を強く抱き締めると、不満げに呟く。
紫原『試合中、白ちんの横に火神がいるのすっげぇ嫌だった。俺は誰よりも長く白ちんと一緒にいたのに、今隣にいるのが俺じゃないのがムカつく』
『...敦も辰也も同じ事考えてたのね。嫌な思いをさせてしまってごめんなさい。でも後悔はないわ...だってああして対峙したことで確かに貴方達も私も変わった。これで、良かったのよ...きっと』
紫原の胸に顔を埋め、全身を包み込まれる感覚に身を委ねていると、耳元に唇が寄せられる。
紫原『好き...白ちんが、好き』
『私もよ、敦。貴方が愛おしくてたまらない。好きよ...(喧嘩した後の"好き""愛してる"は私達なりの"ごめんなさい")』
『ん....くすぐったいわ敦』
首筋から鎖骨へと唇を滑らせる度に駆け巡る甘い快楽に身をよじると、逃がさないようにと長い腕が拘束を強める。
紫原『逃げちゃだめ...』
『...ふふっ...もう。辰也、助けてくれない?』
クスクスと笑いながら妖艶な微笑みで氷室へと目を向けると、その光景に目を奪われていた氷室がはっと我に返り、いつも笑みを浮かべながら二人の間に割って入る。
氷室『....っ、ああ分かったよ。ほらアツシ、離れないとダメだよ』
紫原『え~まだ足りないし』
『そろそろ涼太の試合見に行かないと。ちょうど第2Q終わったぐらいだし』
ね?お願い、と瞼にキスをすると渋々といった表情で腕を離した。
『ありがとう、素直な子は好きよ』
氷室『じゃあ俺たちは帰ろうかアツシ』
紫原『ん~』
『またね、二人とも』
手早く荷物を纏めると、零蘭は二人と順番にキスをし、小走りでコートへと向かっていった。