白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第23章 ★紫色との大戦★
氷室『(レイラ、恐らく君がシュートの正体を見抜いたんだろうね...だけれど無駄だよ。俺のシュートは止められない、例え君が相手でもね)』
スッと細めた切れ長の瞳が零蘭を捉える。自信や怒り、あらゆる色をのせた瞳に零蘭は反らすこと無く真っ直ぐに見つめ返す。
黒子のシュート精度に乱れが見え始め、それに畳み掛けるように陽泉のダブルエース、紫原と氷室の猛攻が点差を少しずつ離していく。
『このままじゃダメだわ...大我は恐らくゾーンに入りたがってる。でもそれじゃ余計には入れないわ』
立花『雑念、てことですか?』
『そう。確かにゾーンというあの思い通りに体が動く感覚を1度体験してしまったら、すがりたくなるわね。気持ちは分かるけど、それこそ1番ゾーンから遠ざかってしまう...』
タイムアウトを無駄に使うわけには行かない。だがこのままでは敗北に大きく前進してしまう。どうする、と思考を巡らせていると、陽泉によって弾かれたボールがコート外へと転がった。
火神が拾いに行くと、ちょうどそこにいた海常の元へとボールがたどり着き、黄瀬がそれを拾い上げた。だが、黄瀬の表情は険しく冷たく火神を見据えていた。
黄瀬『なんすかその体たらくは』
火神『黄瀬...』
『涼太...』
黄瀬『あれ?知り合いかと思ったら違ったっすね。あんた誰?』
火神『あ?何言って、』
黄瀬『知らねーよ。んな何かにすがってバスケやるよーなヘタレは。どーやら準決は紫原っちとやることになりそっすねー、よろしくっす』
んだとっ!と抗議する火神には目もくれず紫原に笑いかけながらボールを返す。
紫原『...そーだね。てか今試合中なんだからあんま話しかけないでよ』
黄瀬『なんだかなー。こんなんだったら練習試合の時やった誰かさんの方がよっぽど怖かったっすわ』
そう言いながらフイッと背を向け、コートの奥へと歩いていくその途中、黄瀬はふとベンチの零蘭と目が合った。
『(涼太も大我の事に気がついていた。だけどあえて冷たく言い放って自覚させたのね。私が言うまでもなかったわ...ありがとう、涼太)』
ふわりと微笑むと、気持ちが通じたのか僅かに口角を上げると、すぐに正面を向きコートを去っていった。