白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第23章 ★紫色との大戦★
増幅していく殺気に誠凛全員の体が戦慄した。それはベンチにもひしひしと伝わり、再び零蘭の体を強ばらせた。
『(辰也....)』
そんな中火神は一人考えた。この局面を打破するには、ゾーンを使うしかない。ゾーンに入れれば、と気持ちを焦らせていた。
青峰『何やってんだかあのバカは』
『マズイわ大我....』
黄瀬『(にしてもアイツなんか....)』
火神の異変に青峰と零蘭、そしてちょうど試合の様子を見に来た海常の黄瀬までも気づいていた。
氷室は火神の守りが中途半端な事に気がつく。チームの紫原ならともかく、そんな体格もスピードも持ち合わせない火神が一人で守るのは無理だと。
氷室『(気に入らねぇよ...誰をマークしようとお前の勝手だが、一人でみんな止めようなんて虫のいい考えは心底気に入らねぇ!!)...火神ぃ!!!』
マークについていた日向を抜き去ると、対峙する火神の前でシュート体勢に入る。
回想
『大我、いい?辰也の陽炎シュートは、二回ボールをリリースしてるの』
火神『二回?』
『そう。跳んで最高到達点に行くまでに真上に一回。それをキャッチしてもう一回。フェイクの技術がとても高い辰也なら、二回放った筈のボールを一回に見せれる。一回目のボールが陽炎となり本命の二回目を覆い隠している。それが、』
回想終了
火神『(それがそのシュートの正体!!つまり止めるためにはブロックに跳ぶのを態とワンテンポ遅らせる!)』
紫原『(こいつ、シュートのカラクリに気づいてる!白ちんの入れ知恵か!)』
『『『火神!!!』』』
氷室『知ってるよ、バレてることは』
ワンテンポ遅れ跳び上がった火神を見下しながら、氷室は通常ならフェイクのために真上に放つ1度目をそのままゴールへ放った。
火神『なっ!!』
氷室『ただのトリックショットだと思ったか?俺は相手の跳ぶタイミングを見てからどちらでも撃てる。気づいた所で意味なんか無いんだよ。陽炎シュートは誰にも止められない』
立花『お姉様!』
『ちっ...ダメね。フェイクを得意とする辰也にフェイクは通じない、か。キレてるからもしかしたら、と思ったけど。流石辰也、冷静に見てきたわね』