白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第23章 ★紫色との大戦★
降旗『え?』
『辰也はストップ→ジャンプシュートしただけ。でもその流れが余りにスムーズだから二人ともシュートモーションに入った事に気づかなかった。大我を抜いた時も普通のプレーだった。彼は一つ一つの動きがとにかく忠実に洗礼されている。いわば大輝とは真逆な超正統派』
アメリカで出会った頃からそのフォームの正確さに驚いていた零蘭は、あれから更に努力して磨きがかかった氷室のバスケにそっと笑みを浮かべる。
氷室『っしゃぁっ!!』
『(相変わらず、頭は冷静に心は熱く、ってところ?そこだけは、変わらないのね)』
再び火神と氷室の対決になった、だが氷室は火神の自分を見る目に違和感を覚えた。
氷室『...まだだな』
試合開始前
人通りのない自動販売機の前で、紫原は氷室に問いかけた。
紫原『室ちんはなんで火神とあんな約束したの?』
氷室『え?』
紫原『その指輪の話、あれって要はどっちが勝っても兄弟やめるって事でしょ?賭けになってないじゃん』
氷室『そんな話したっけ?』
紫原『ストバスの帰り、ごまかせてないよ』
氷室は少しの沈黙の後にフッと笑みこぼした。
氷室『そうだよ、俺はタイガと兄弟であることをやめたいんだ。子供の頃は明らかに実力差があって何も感じなかった...だがメキメキと成長し、中学の頃には俺と肩を並べるまでになったあいつを見てある日、確信してしまったんだ』
あいつだけには負けたくない
氷室『だから、兄弟という枷が邪魔だったんだよ、特にあいつは本気でやっているつもりでも無意識にセーブがかかってしまう。俺は本気のタイガと戦いたい。そして、
叩き潰したいんだよ』
神妙な顔つきでグッと強く指輪を握りしめると、繋がれたチェーンが鈍い音を微かにたてる。
紫原『ふーん。でも室ちん、それだけじゃないような気がするけど』
氷室『...ははっ、アツシは鋭いな。そうだね、これは最近になってからだけど、理由の一つでもある。なんせ俺達は小さな頃から一緒に過ごしてきた。だからかな?
どうも大好きなものが似てしまうんだ....』