白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第23章 ★紫色との大戦★
氷室『お前、まだ...心のどこかで、俺を兄として見ているんじゃないだろうな?』
火神『....っ!?』
低く発せられた声に一瞬ひるんだその瞬間に、氷室はシュートモーションに入った。今度はフェイクではないと感づいた火神はブロックに飛ぶ、しかし伸ばした手はボールに触れることは出来ず、手をすり抜けるようにゴールへと入った。
氷室『陽炎のシュート』
消えるシュートに観客から歓声が沸き起こり、今のはなんだと言わんばかりに熱狂した。
立花『え?あれって黒子くんの幻影のシュート!?』
黒子『いいえ、一見僕の幻影のシュートと似ていますが、恐らく仕組みも特性も全く別物です。それにもしかしたら....仮に正体を見破ってもあの人のシュートは、止められないかもしれません』
『(あのシュート、アメリカで一度見せてもらった辰也の必殺技。一回だけだったから止めることは出来なかったけど、あの時より更に洗礼されてる...一刻も早く、あのシュートの攻略をしないと!)』
指を口に添え、攻略を見つけ出そうと頭を動かしていると、ふと視界に氷室と火神が映る。
氷室『俺とお前は今や敵同士だ....もっと殺す気で来いよ...』
『っ....!!』
普段の柔和な印象とはまるで別人の、地を這うような低音と射殺すような目に、ゾワッと寒気が走り体を震わせた。
立花『お姉様っ!?』
『ごめんっ...光。(あんな辰也、見たことない...怖い...)』
そんな零蘭に気付いた氷室は、一度目を閉じ次に開いたときには少しばかりいつもの雰囲気に戻っていた。だが未だに彼を包む怒りのオーラに零蘭は思わず目を反らしてしまう。
氷室『(...いけない、怖がらせてしまった。すまない、レイラ。だけど俺は....)』
?『誠凛、メンバーチェンジです』
土田『火神っ!』
火神『いっ!?俺っ!?』
立花『いいからこっち来て!!』
まだやれる、と抗議する火神を無視して無理矢理ベンチに下げさせる。
木吉『火神の悪いところが出たな...勝負と情を分けきかれない。あいつは優しすぎる』