白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第23章 ★紫色との大戦★
黒子の差し出した両手の拳に答えるように二人は、それぞれ片手ずつ己の拳を突き合わせる。そんな三人の元に零蘭が歩み寄る。
『二人の強さは私も身を持って知ってるわ。何かあればすぐに対策だって考える。だから、安心して暴れてきて』
黒子同様拳を突き合わせると、二人はコートへと向き直り試合に挑むべく真っ直ぐ向かっていった。
『『任せとけ!!』』
第3Q開始、黒子を下げた事に動揺を見せない陽泉陣営に、読まれていたのかとリコが顔をしかめる。そんな中ボールは読み通り氷室に渡り、火神との一騎討ち状態入った。
火神『待たせたな...遠慮なくやろーぜ、タツヤぁ!!』
氷室『良い眼だ、安心したよ。試合前に言ってたことは本当みたいだね。だが勝つのは俺だ、タイガ!!』
互いを敵と見なし対峙する姿、気迫、特に氷室の纏う気迫に零蘭は心がズキッと痛むのを感じた。
『っ....(辰也...やっぱり貴方は....)』
黒子『零蘭さん?大丈夫ですか?』
『ごめん、テツヤ。大丈夫よ....』
異変に気付いた黒子は、大丈夫と言ったものの辛そうにコートを見つめる零蘭にせめてもと、膝上に置かれた手をそっと握った。
ボールを持った氷室は火神と睨み合いの硬直が続いた。だが次の瞬間、その場からシュート体勢をとり、飛び上がった。誰しもが氷室はシュートを放つ。そう感じ、火神もブロックするために地を蹴り飛ぶ。だが、
『(あれは...!)大我っ!違う、それはフェイクよ!!』
火神『!?』
零蘭の叫びも虚しく、飛び上がった筈の氷室はそこにはおらず、そのまま火神を抜き去っていった。
咄嗟に日向がサポートに入り、氷室の前に立ちはだかる。しかし、今度はその場で止まり誰もが見惚れる鮮やかな流れでシュートを放った。余りの流れの良さに、日向はおろかコート全員が動きを止めてしまった。
?『き、決まったぁー!!!』
?『鮮やか過ぎて思わず見とれちまった!』
日向『(見えてたのに反応できなかった、なんて滑らかさだ....!!)』
降旗『主将も火神も全く反応出来ないなんて、一体どんなトリックが..!?』
『トリックなんてないわよ』