第23章 ★紫色との大戦★

両者一斉に飛んだが、圧倒的に紫原が上を行き、ボールに触れPGの福井に渡る。


誰もが陽泉のスタートだ、と思った瞬間


ピー！！！


？『ジャンパーヴァイオレーション！！白9番！黒ボール！！』


荒木『またやった...』


『あらら～敦ってば飛び過ぎ』


リコ『(体格だけで反則めいてるわね！日本人離れした長い手足、しかも今のジャンプボールの高さ...)』


アレックス『(最高到達点だけで言えば、タイガよりも高い！！)』


立花『あ、あんなのアリですか...？』


『アリよ。敦ってば、あれから何㎝伸びたのよ...でもおかげでこっちのボールになったわ』


気を取り直して試合は再開、誠凛ボールからスタートすると超高速パスワークで陽泉を翻弄しながら繋いでいく。


リコ『(スピード勝負よ！どんなに硬いDFでも隙間が出来ないなんてあり得ない...その隙間をつく！)パスより早く動ける人間なんていないでしょ！！』


やがてそのパスワークは最後フリーとなった日向に渡る。


『『いけぇー！！！！』』


だがそこに最も巨大な影が迫っていた。




紫原『どこが？ヒネリつぶすよ？』


日向『うおっ！？(高すぎる！距離は充分あった筈なのに！！)』


バゴッ！！という音と共に大きく弾かれ、ボールは誰もいないエリアに落ちる。辛うじていち速く気付いた伊月が拾う事に成功した。


荒木『今までその方法で攻めてきたチームは星の数ほどいるが、その程度で破られるほどウチのDFは甘くないよ』


リコ『確かに...生半可なDFじゃないわね...なら、もっと速ければどう？』




回想


立花『横のロングパス、ですか？』


『バスケには速攻の時とかで縦のロングパスはあるけど、サッカーみたいなサイドチェンジのような横のロングパスはまずは使えません』


日向『そりゃあ、そんなのまずカットされるだろ』


『そうです、狭いコートで選手が密集してるからやっても通らない』


リコ『...けど、誠凛には一人いるわ。その不可能を可能にする選手がね！』



回想終了



その言葉通り、伊月から放たれたボールは黒子へと完全に裏をかいた位置で火神へと渡る。打点の高いシュートに決まる、と思った。