白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第22章 ★火神の師匠★
今吉『責めんといてな。ワシが無理矢理聞いたようなもんやから』
『私が兄を責めるわけないでしょう?大方そうだろうと思いましたし、こういう事は大体貴方が悪いんですから』
今吉『ひっどい言われようやな。青峰や他の男にはそんな事言わんのに』
さも気にしてなどいないようにケラケラ笑う声に段々苛立ちを覚え、自然と口調がキツくなる
『で、用件はなんです?ないなら私は明日も控えてるので切りますよ』
今吉『また無視か....ま、ええわ。理由なんて1つ...お姫さんの声が聞きたかっただけや』
『........そんな冗談を』
今吉『冗談やない....本気やで』
聞いたことないぐらいの真剣な声に、零蘭は言葉を失う。静寂が辺りを包み、壁時計の秒針の音がやたら大きく聞こえる。
今吉『おーい、お姫さん?なんや、もしかして不意打ちやったか?』
『っ、そんなわけないでしょう。貴方が私にそんな言葉をかける理由がない。そもそも貴方は私に好意どころか嫌悪すら感じている、違いますか?』
今吉『あ~温泉での時か。別に嫌いとは言ってないやろ?いつかは選ばなアカン。自分の女が他の男とも関係持っとるなんて、普通やったら事件やら起こっても不思議やない』
『分かってます....そんなの。でももう覚悟はあります』
自然と携帯を持つ手に力が入り、ギリッと音をたてる。間違っていると頭では分かっていても、零蘭の本能がそれを止めない。愛情に飢えた女郎蜘蛛は大勢の愛を貪り、その相手を心から愛する。ならば、だったら....と
今吉『ほう、まぁお姫さんの男達はなんやかんや上手いこと付きおうとる。これがお姫さんの力なんかもしれんな.....ほんま、羨ましいわ(ボソッ)』
『今吉さん?』
今吉『ん、何でもないわ』
『それで結論は?』
今吉『....今度デートしよか』
『は????』
今吉『ええやん、もっと話聞きたいし顔も見たいわ。んで、そこでお姫さんの言う覚悟を聞かせてもらうわ』
『...分かりました。でも、受験』
今吉『息抜きや息抜き♪じゃ、大会終わったらまた連絡するわ』
『はい、ではお休みなさい』
電話を切り、ベッドに寝転がるとシーツを握りしめながら目を閉じる
『私はもう、迷ったりしない』