白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第22章 ★火神の師匠★
僅かに頬を染め、そっぽを向く緑間に愛しさを感じていた零蘭はふと彼の横で先程までから何も喋らない高尾に目が行った
いつもなら、会えば飛んできて明るく話しかけてくるはずの彼が珍しく俯いていることに疑問を抱いた
『えっと、和成?どこか具合でも悪い?』
高尾『零蘭、ちゃん?』
『そうよ。大丈夫?無理もないか。試合の後だものね』
高尾『あ...零蘭、ちゃん...!』
やっと相手が零蘭だと分かり、顔を上げるがその瞳は虚ろで、勢いよく手を伸ばすと目の前の零蘭を強く抱きしめた。
『きゃっ...!か、和成?』
高尾『零蘭ちゃん...!ははっ、零蘭ちゃんだ...やっと触れた!さっきのあれなんなの?あの時から俺どうにかなっちまいそうで...零蘭ちゃんが欲しくてたまんねぇ...!さっきから触れたくて触れたくて仕方ねぇんだよ...!なぁっ、零蘭ちゃん!』
狂ったように何度も零蘭の名を呼び、きつく抱きしめる。力に押され零蘭の体は背後の建物の壁に押し付けられる。
『え...?和成、どうしちゃったの!?っ....』
緑間『高尾!やめろ....!』
突然の高尾の豹変に二人はあっけにとられていたが、すぐに緑間は零蘭から引き剥がそうと肩を掴もうとする。だが、それを零蘭は手で制した。
緑間『零蘭っ!?』
『っ、大丈夫よ。私が何とかする。和成、大丈夫よ。貴方は何もおかしくなってないわ。私はちゃんとここにいる....だから落ち着いて、私の目を見て。いいえ、私の目を見なさい』
高尾の頭を両手で押さえ、力ずくで目を合わせる。暫くすると虚ろだった瞳に光が戻る。
高尾『あ、れ?俺、なんで...え?零蘭ちゃん?』
『良かった...戻ったのね和成』
緑間『はぁ...まったく、人騒がせな奴なのだよ。お前も、零蘭も』
高尾『俺さっきまで帰りの支度してて...記憶が曖昧なんだけど?』
『大丈夫、私が説明するわ』