白い小悪魔は誰のもの?~secondseason~
第18章 ★因縁の戦い★
先程のタイムアウトで何かが吹っ切れたのか、日向先輩の様子が変わった。
兄さんを倒すことだけに執着していた彼の肩にはいつにも増して力が入りこんでた…だからいつもはクラッチタイムで決めるスリーも入らない。そんな状況がこの試合中ずっと続いていたけれど
テツヤからのパスが回り、今やボールを手に取った彼の周りからは無駄な力が全て抜けている状態、周りがスローモーションのように錯覚してしまうほど、キレイなフォームだった
『やっとですか....』
ボールはそのまま弧を描き、そして吸い込まれるかのようにゴールのリングを潜り抜けたのだった
残り時間4分にして、本日一本目のスリーが見事決まったのだった
ガッツポーズをしてみせる彼に、私たちは声を張り上げた。木吉先輩も日向先輩を見て安心したように表情を緩めていた
スリーはチーム全体の意欲向上に大きく貢献した。彼に負けていられないとばかりに俊先輩や水戸部先輩。大我やテツヤまでもが大健闘していた
あの人は一度3Pを決めると止まらなくなる人だからね
ついに残り一分、誠凛はついに逆転することが出来たのだった。この勢いはちょっとやそっとじゃ止まらないわ
残り一分にして私たちは逆転、勢いは完全に誠凛側に回って来た…と思いきや
花宮『ふざけやがって…全部、全部テメーのせいだ…!!』
ボールを持った兄さんの前にはテツヤ
ヤバッ!!!やめて兄さん!
『テツヤっ!!』
私の叫びと同時に、兄さんがテツヤに向かって腕を振り下ろした。しかしそれを寸前のところでテツヤはかわす
よかった....
花宮『くそが…テメェさえいなけりゃ…』
と悔しそうに表情を歪める、がその表情はまたいつもの笑みに変わった
花宮『なんて、言うわけねェだろバァカ』