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初恋物語

第5章 記憶喪失


ゆぅクンたちと一緒に車に乗ると横からゆぅクンが怯えた子供のように抱きつきながらオレを見る
彼をこんなに泣かせたオレはどんな人だったんだろう
自分自身なのに全然記憶がない
自分は学校の教師だと流さんが教えてくれたけど実感が沸かない
思い出そうとしてもモヤがかかっている


「先生が記憶ないってことはわかってる
でも俺…つらいよ。苦しいよ
俺のこと思い出して…」


必死に涙を溜め上目遣いでオレを見る彼が可愛いと思ってしまう
無意識に抱きしめたい衝動が起こるが我慢する
抱きしめてしまったらこのまま彼を閉じ込めてしまいそうだから
なんでそう思ったのか自分でもわからない
でももう一人のオレが全ての記憶を知っている
早く記憶を取り戻したい
取り戻して彼を強く抱きしめたい
自分の気持ちを抑えているとオレが就任しているという学校に着いた
校門の前にはオレの知り合い(らしい)人がこちらに向かってくる


「柊!無事でよかった
もう彼を泣かすようなことしたらダメだよ」
「恒太さん!」


彼とはゆぅクンのことだろう
オレが愛おしいと感じてた人
でも今のオレには生徒と教師の立場を考えてしまう
記憶を失う前のオレはどうだったんだろう
禁断だと知ってながらも彼を好きだったのかな
あれこれ考えてると隼人クンが呟いた


「そういえば明日から夏休みだよな
ゆぅクン、柊と一緒に暮らしなよ
もしかしたら記憶戻るかもしれないよ」


隼人クンの言葉にゆぅクンは真っ赤になってる
可愛いと思いながら頭を撫でるとギュッと抱きしめられたので不覚にもドキっとする


「確かに一緒に住めば戻るかもしれないな
柊、責任もってゆぅと暮らしなさい
特別に許可する」
「同棲…だな
住む場所は決めておくから早めに片付けておくように
くれぐれも襲わないように」
「り、流先生?」


勝手に話が進んでる光景にたじたじとなってしまう
隣にいるゆぅクンも太陽みたいに赤くなってる
ぎこちなくなりながらも彼の部屋に向かった
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