第10章 テスト
昼から本格的に降ってきた雨のせいで、まだ夕方だというのに薄暗い部屋の中、結は終わる気配のない愛撫に身をよじった。
「ふ、ぁ……っ、ん」
「イイ声。もっと……ハっ、聞かせて」
窓ガラスを叩く雨音が、行為の先を促すように激しさを増すなか、スルリと滑りこむ長い足に膝を割られて、視界が白くかすむ。
「涼……太」
名前を呼んだ瞬間、耳元で息を飲む気配。
「結、も……ホント可愛い。食べて、しまいたいっスわ」
鎖骨をなぞっていた唇が熱い息を吐いたかと思うと、左肩に食い込んでくる歯に、ベッドの上で小さく跳ねる。
「ン……っ」
「あっ!ゴメ、ン……つい」
ピリリとひりつく肌を、謝罪の代わりのように往復する舌に、肌が粟立つ。
「ん、んっ」
「痛かったよね、ゴメン」
「だ、いじょうぶ……」
「ね。じゃあさ、結も噛んでよ」
一瞬何を言われているか解らずに、結は閉じていた目をゆっくりと開いた。
妖しい色をたたえた金の瞳と、ペロリと口の周りを舐める舌の赤さにめまいがする。
「エロい顔……」
一瞬でシャツを脱ぎ捨て、差し出されるように近づいてくるたくましい肩に、結は躊躇しながらも小さく歯を立てた。
「ン」
加減が分からずに軽く噛んだ後、彼がしてくれたようにそろりと舐めた肌はまるでシルク。
「っ、ヤバい……それ」
頭を優しく撫でられて、もっとと強請られるまま這わせた舌に感じる肌は、汗ばんでいるのにほのかに甘い。
「う、ん……黄瀬さ、ん」
「む……名前、戻ってる」
いじけた声が、はだけた服の隙間を縫うように胸元を降りていく。
「お仕置きっスよ」と下着の端を噛まれ、声をあげる間もなくあらわにされた膨らみをなぞる吐息に、はしたなく腰が揺れる。
「や……あっ」
「肌、白くてキレイっスね」
海の色を思わせるベッドカバーの上、その白さがオトコの欲に火を着けるのは自然の理。
「スゲェ、そそる」
「っ、ん」
大きな手で揉みしだかれて、身体の奥がじくりと疼く感情は、羞恥とは少し違う類であることは明らかで。
「もしかして、胸弄られんの……イヤ?」
心配そうに覗きこんでくる瞳から顔を背けると、結は小さく首を縦に振った。
「大きく……ない、から……恥ずかしい」