第10章 テスト
「へ?」
その言葉に黄瀬は目を丸くした後、腑に落ちたように大きく頷いた。
「どーりで胸触んの嫌がるはず……って結、痛いってば!暴れないの!」
「わ、私には深刻な悩みなんですからね!」
余程恥ずかしいのか、涙目でポカポカと胸を叩いてくる恋人のリアクションすら愛しくて、つい頬が緩む。
だからと言って中断するほどの余裕はないが。
「カワイ……何それ」
「やだっ、も……離して」
「ダ~メ。逃がさないっスよ」
暴れる腕をシーツに沈めると、黄瀬はふたつの膨らみをなぞるように唇を滑らせた。
確かに大きいとは言えないかもしれないが、ほどよい弾力とサクラ色の飾りがどれほどの破壊力を持っているのか、教えておく必要があるようだ。
なによりもこの柔らかさは罪。
ましてや、恋人の肌ともなればその興奮度は増すばかり。
黄瀬は、控えめに勃ちあがった胸の頂上を口に含むと、強く吸い上げた。
「やぁっ、あ……ん」
舌先で転がしたり甘噛みする度に、ビクビクといい反応を見せるカラダに支配欲が暴れ出す。
唾液で濡れてぷくりと質量を増す尖りを、黄瀬は思うまま舐めまわした。
「ん、ああ、ひゃぁ……っ!」
「ハッ、だから……そのエロい声、やめてくんない?」
「やぁ、だって……それ、ダメぇ」
一度、声が嗄れるまで苛めてみたい。
だが、黄瀬はそんな欲望の塊を追い払うように、プルプルと頭を振った。
「……後が怖いからやめとこ」
「ん、何?」
「な、何でもないっス」
「その顔、絶対に良からぬことを考えて……ア、っん!」
鋭い追及の手から逃れるように、五指を広げ、円を描くように揉みあげた小ぶりな乳房が形を変える。
「シッ。いいから今はこっちに集中して」
「あ、ゃ……恥ずか、し」
「なんで?ホラ、オレの手にピッタリおさまって……こんなに可愛いんだからさ。恥ずかしがんなくていいんスよ」
「ん、言わない……で、やだぁ」
「てかその声、逆に煽ってるって分かんないの?」
「……っ」
口をつぐみ、憮然とする表情があまりにも可笑しくて、黄瀬は楽しげに肩を揺らした。
正直、胸の大きさにこだわりはないのだが、嫌がる理由がそんなことなら話は別だ。
「そんなに気になるならさ、オレが育ててあげよっか?」
「……そ、育て、っ!?ななな何を言って」