第51章 キスミー
嵐のような夜だった。
あんなにも長く、深く求められたのは初めてかもしれない。
『……結』
甘い吐息が耳をなぶり、肌に点々と消えない熱を灯す。
穏やかに、そして時に激しく揺さぶってくる背中にしがみつき、何度高みに導かれただろう。
『少し……はぁ、休ませ、て……お願、い』
『ゴメ、ン。ちょっと……止まん、ね』
肌を濡らすのは、どちらの汗が分からなくなるほどに淫らにシーツの上を転がり、言葉もなく見つめ合い、キスを交わし、溶け合うように交わる時間は、まるで永遠に続くことを望み、望まれているように濃密で。
飢えた瞳に映る、自分の乱れた姿に羞恥を感じてのけ反れば、胸の先端を口内に含まれて頭の芯が弾け飛ぶ。
肌を滑る金の髪を掻きむしり、一番深いところで繋がったままユルユルと突き上げてくる腰に、結は自ら足を絡ませていた。
『あん、っ……涼太、ぁ』
『は、もっと名前、呼んで……』
『あぁ……ダメ、もう』
『ん、結……イきそ?ハ、っ、じゃまた一緒に……イこっか』
同時に翔べるよう、強く絡みあう指がシーツを掻き回し、波を起こす。
収縮する壁をこじあけ、ナカを擦りあげる切っ先が、最後の瞬間を知らせるように膨らみ、脈打ちながらスピードをあげる。
肌が肌を打つ音と、快感を助長する淫らな水音。
上質なスプリングが、激しさに耐えかねたようにギシギシと音を鳴らした。
『りょ……涼太、あぁ、やぁ……っ』
『くぅ、っ……結、イク、っ』
髪を乱し、眉根を寄せながら、喉を震わせて絶頂を迎える黄瀬の表情を最後に、結の記憶はぷつりと途絶えた。