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【黒バス】今夜もアイシテル

第51章 キスミー







それは、ふいに訪れた目覚めだった。

軽く身じろぎし、結は口の渇きを潤すように小さく喉を鳴らした。

「……ん、ぅん」

喉の奥がヒリヒリと痛む。
いや、声が嗄れているといった方が正しいだろうか。

ベッドにずしりと沈む身体は、まるで鉛のよう。

レポートに追われ、睡眠不足で迎えた朝のように言うことを聞かない瞼を、結は片方だけ持ち上げた。

(今、何時……だろ)

目に映る空気はほのかにうす暗く、夜明けがまだ先であることを告げている。

今日の日曜練が午後からであることをボヤけた頭で確認し、「二度寝しちゃお……」と布団の中に潜りこもうとした結は、耳にかかる吐息にピクリと動きを止めた。

背中にぴったりと密着する引き締まった胸から、規則正しく繰り返される心臓の音が、自分の鼓動を追いかけるように肌を柔く打つ。

首の下で枕の役目を果たすのは、自分のものとは明らかに違う筋肉質な左腕。

右腕で腰をホールドされ、絡みつく足に身体の自由を奪われながら、結は下半身に感じる生々しいまでの男性の象徴に、パクパクと口を開いた。

(な、何、どうして……っ)

全裸のまま、背後から抱きしめられているという体勢が、寝ぼけた思考を吹き飛ばす。

と同時に脳裏によみがえるのは、羞恥を忘れて乱れた情事と、何度も繰り返される絶頂の波。

一晩中、身体の一部のように溶け合っていたものを求めて、下半身がじわりと疼く。

思わず丸めた背中との隙間を埋めるように、「……ん、結」と近づく吐息に、結は心の中で甘い悲鳴をあげた。




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