第51章 キスミー
何度目かのエクスタシーを迎えた身体が、くたりとベッドに沈みこむ。
「は、ッ……結、だいじょーぶ?」
苦しそうな息の下で弱々しく頷く恋人の頬を撫でながら、黄瀬はまだ冷めない熱をやり過ごそうと、唇を噛みしめた。
次に彼女を抱く時は優しく
無茶な事はせず無理もさせない
(そう決めてたのに……)
触れたら最後、暴れ出す本能を理性で制御することは出来なかった。
固い決意をあっさりと覆すように湧き上がる激情が、身体中の血をふつふつと滾らせて、全身の毛穴から汗が噴き出す。
「は、ぁ……そんな顔……しない、で」
気遣うように頬に触れてくる手を取り、黄瀬はその手のひらにくちづけた。
「も、煽んないで。結を壊してしまいそうで、怖いんスよ……マジで」
「何言って……るんですか。好きな人に抱かれて……壊れるわけ、ない」
「……結」
「壊れてもいい……全部あげる、から……もっと涼太を感じさせて。涼太は……違う、の?」
黄瀬はベッドについた膝に力を込めると、大きく息を吐き出した。
「……欲しい、結が。もっと抱きたい」
「嬉しい……」
首に優しく巻きつく腕に導かれるまま、黄瀬は目の前の身体に覆いかぶさった。
音もなく弾むスプリングが、再開された律動で大きくしなる。
「ハッ、ん、結……っ」
「あ、っ、涼……太ぁっ」
だが、十代の欲は何度達しても尽きることなく、肩で息をする小さな身体をうつ伏せにすると、黄瀬はまだ猛々しく勃ち上がる屹立を後ろから突き立てた。
「ん……ンっ!」
「キツ、い?」
「う、うん……平気」
枕に顔をうずめて声を抑える背中が、猫のようにしなやかに反る。
背骨に沿って指を滑らせ、女性らしくくびれた腰を高く持ち上げると、黄瀬はゆるゆると身体を揺らした。
「ん。ひ、あぁ……っ」
「ちょっ、と激しくしちゃう……かも」
「あ、ふぁ、んん」
「あぁ……も、たまんね」
激しくなる抽迭に、上に逃げる身体を引き戻し、繰り返される律動が徐々に速度をあげる。
「や、はぁ……っ、深、い」
「まだ、もっと奥までオレを、感じて」
硬い切っ先が到達した最奥の壁をノックするたびにビクビクと跳ねる腰を押さえつけ、黄瀬は徐々に見えてくる頂きを目指して、空高く跳んだ。