第51章 キスミー
初めて彼女に着けてもらった避妊具は、ほんのり甘いフルーツの香り。
おそらくネットで購入したのだろうが、どんな顔で注文ボタンをクリックしたのか、想像するだけで頬がゆるむ。
「……ありがと、結」
「どう、いたしまして……」
目を伏せて、ベッドの上で所在なげに座る結の肩を、黄瀬はゆっくりと押し倒した。
まさか彼女からの誘いで、こんな展開になるとは思わなかった。
少し早めのクリスマスプレゼントを貰った気分だ。
(すげぇ一生懸命で可愛かったな……)
やわらかい舌の感触と、たどたどしい指先を思い出して、うすい膜の中の昂りがズクリと疼く。
「何、ニヤニヤしてるんですか……」
「こんな暗いのによく分かるっスね。もしかして、これが愛の力ってやつ?」
「ム」
拗ねた声に、交差する愛しさと劣情。
黄瀬はひとつ深呼吸すると、瞼に、頬に、耳朶にキスを落としながら、ゆっくりと腰を沈めた。
「挿れるよ。キツかったら言って」
「う、ん…………ッん!」
小さく跳ねる身体が侵入を拒んだのは一瞬で。
先端を飲みこんだかと思うと、たっぷりと潤った泉は、その瞬間を待ちかねていたように欲のすべてを受け入れた。
ゴム越しにねっとりと絡みつく粘膜に、黄瀬はゴクリと喉を鳴らした。
「く……っ、すげ……締まる」
「んぁ、熱……い」
さらに強まる締めつけに、煽られるまま腰を揺らす。
「オレの……に、ハッ……ぴったり」
「や、あぁ……っん」
円を描くように腰を回すと、白い喉を反らせて喘ぐ口からこぼれ落ちる嬌声が、鼓膜と欲をゆさぶる。
「は、あっ、久しぶりなのに……結のココ、オレの形に馴染んで吸いついてくる……分かる?ホラ」
「ン……あ、だ、って……」
シャラと鎖骨の窪みに落ちるネックレスが、汗で濡れて鈍く光る。
動きを止め、その鎖をたどるように舌を這わせながら、黄瀬は掠れる声に耳を傾けた。
「許したのは……涼太、だけだから」
シーツを蹴った足が、続きをねだるように腰に絡みつく。
「これからもずっと、アナタだけ。だから、もっと……刻んで」