第51章 キスミー
「ひ、ゃあ……駄目っ、また、ぁ」
「ハッ、いいよ。イって」
お互いを舐めあうとはいっても、その経験値で結が黄瀬に敵うはずもなく。
懸命に屹立を頬張って刺激を送ろうとするも、それを上回る黄瀬の巧みな舌遣いで責められて、結はひとり何度も高みへと登りつめた。
だが、快感の余韻に浸る身体に、休む暇が与えられることはなかった。
「そのまま力、抜いてて」
気遣うような声とともにつぷりと挿入された指が、舌では届かなかった快楽の場所を迷いなく目指す。
「んッ」
「う、わ……吸いこまれて、ナカ……すげぇトロトロ」
「あ、待……って、まだ……あ、やっ」
「でも、締めつけて離さないのは……ハ、結の方っスよ。ホラ、もう根元までくわえて」
「ひ、あ!あ……ぁっん」
くの字に曲げられた指で、たどり着いた敏感な場所を擦りあげられて、弓なりに反る背中に汗が浮かぶ。
ぐちゅりと抜き差しするたびに泡立つ水音が、ふたりから理性を奪っていく。
「も……変になっちゃ、ンんっ、あ、ゃあ」
「はぁ、もっと……オレで、気持ちよくなって……く、ぅあ」
小さな手に強く握り込まれ、たまらず喘いだ黄瀬の欲が、今にも弾けてしまいそうに質量を増しながらビクビクと脈動する。
「すご、い……ン、ふぅ」
「く、っ……オレ、も……ヤバイ、かも」
ナカで蠢く指に腰を揺らしながら、舌を這わせる拙い愛撫に、黄瀬にも限界が訪れようとしていた。
ずるりと引き抜いた指から手首を伝う蜜をペロリと舐めると、黄瀬は床に転がるカバンに手を伸ばした。
「あ、待って……」
「待つ……ってナニ」
よからぬ予感に目を丸くする黄瀬の思いをよそに、結はふらつく身体を散らばるシャツで隠しながら、自分の鞄の中から小さなポーチを取り出した。
「いつも、任せっきりだったから……用意、してみました」
「マジ、スか」
「つ…………着けても、いいですか?」
最初の予想は外したものの、それを大きく上回る魅惑的な誘いに人気モデルは相好を崩した。
「表と裏、分かる?」
「え」
手からぽろりとこぼれた袋は、女子が好みそうな可愛いパッケージ。
黄瀬は目尻を下げながら「教えてあげるから、おいで」と、フリーズする恋人に手を差し出した。