• テキストサイズ

【黒バス】今夜もアイシテル

第51章 キスミー





『恋人が喜ぶクリスマスプレゼント特集』



キョロキョロと辺りを見回し、結は平積みされている雑誌を手に取った。

ハラリと開いたページをきらびやかに飾るのは、有名ブランドらしきアクセサリーや、見るからに高級そうな時計とカバン。

そのどれもが、目を剥くような数字を従えている。

(完全に選ぶ本を間違えた……)

こんな高額なプレゼントを贈ることは無理だし、逆に贈られても困る。

本当に欲しいのは──

溜め息とともにページを閉じ、本を元に戻したその時。

「おねーさん、ひとり?」

背後から、ふわりと視界をさえぎる大きな手と、無機質な空気を一瞬で染める、彼愛用の香水。

結は表情筋を引き締めながら、幸せの香りを胸いっぱいに吸いこんだ。

「よかったらお茶でもどうっスか?」

「昔ながらの誘い文句ですね。古典、得意でしたっけ?」

「ハハ、そう来たか。手強いっスね」

二週間ぶりの声に、肩を抱く腕の温もりに、心が震える。

楽しげな気配に背中を預けると、結は普段なら払いのけてしまう腕におずおずと触れた。





/ 521ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp