第4章 スウィートハニー
夕暮れを映す薄暗い部屋の中、うっすらと窓ガラスを曇らせながら、ふたりは深く愛し合った。
はじめて黄瀬に抱かれた時とは違う羞恥に、最初は戸惑っていた結も、肌を這う唇にいつしか溺れ、波のように訪れる絶頂に声を上げた。
「あぁ……っ、ん、駄目……も」
「ハッ、また……イっちゃう?いい、よ。一緒に……イこっか」
ゆらゆらと揺れる足を抱えあげると、黄瀬は汗ばむ身体を大きくしならせた。
黄瀬に求められるまま、結はその身を何度もゆだねた。
脱ぎ捨てられた服と避妊具の残骸が、余裕のなさを物語るように床に散乱。
堰をきったように流れこんでくる激情は、絶頂に達しても一向に尽きる様子を見せず、何度果ててもすぐに復活して、結の身体を貪った。
もう何度、高みにのぼりつめたか分からない。
疲労しきった身体をベッドに横たえて、結はまだ乱れる息を整えるように深呼吸を繰り返した。
「は、ぁ……は」
「結……」
「……ぅ、ん?」
ギシリという鈍い音とともに覆い被さってくる身体に、視界を覆われて息が止まる。
「え」
「ね、もうちょっとだけ……」
すりよってくる鼻先に敏感な先端をくすぐられて、結は重い身体を捩った。
「……ぁ、っ」
異議を唱えようとしたが、何度も愛されて喘ぎ続けたせいで、口からは嗄れた声が出ただけだった。
「その……掠れた声、そそるっス……ンむっ」
パクリと胸の尖りを口内に含まれて、結は背中を弓のように反らせた。
「ア、あぁ……っ」
「敏感っスね。もうこんな固くして……気持ちい?」
「ん、違っ……や」
身体はすでに限界を超えている。
結は力の入らない手で、黄瀬の肩を叩いた。
だが、その抵抗が逆に彼の欲に火を着けたのか、結の腕はシーツの波に縫いつけられてしまった。
「ゴメン……なんか、マジで止まんない。もっかい、シよ?」
「ゃ、嘘……っ」
本格的に責めの体勢に入った黄瀬に深く唇を重ねられて、呼吸すらままならない。
「ん、ン……っ」
膝で両足を割られたかと思うと、ぴたりと密着する腰から伝わる熱と、硬さを取り戻して太股に擦りつけられる昂りに、結は大きく息をのんだ。
その時──