第48章 オンリーワン
強引な侵入を拒むように指を締めつける収縮が、新たな焦りとなって黄瀬を襲う。
貪るようなくちづけのせいで、息がうまく吸えない。
目の奥がチカチカと弾ける。
(やめろ)
頭の中に鳴り響く危険信号。
(やめろ)
だが、奥に潜む快感の場所を知り尽くした指は、持ち主の意思に反して侵食の速度を上げていく。
「ん……っ、や……あぁっ!」
その声が、征服欲にも似た嗜虐心に火をつける。
指の腹で擦りあげ、細かい振動を送るだけで、たちまち快楽に目覚めて潤いを増す粘膜を、黄瀬は本数を増やしてじっくりと味わった。
「ハッ、結のココ、すげぇ悦んでる。こんなんで、オレから離れられんの?」
「っ、やだ……やめ、こんな……の、は、あぁっ」
執拗な責めに、濡れた唇がはくはくと喘ぐ。
親がいることや、今の状況を理解できる理性は、もうヒト欠片も残っていなかった。
このカラダに刻みたい
もうあんな事を言わせないように
そして、自分は結だけのものだということを
ふたつの手首をまとめて、頭の上で拘束する。
少し力を入れたら折れてしまいそうな細さに、高揚感が精神を蝕んでいく。
「お願い、黄瀬さ……やめ、てっ」
身を捩りながらも指を飲み込み、快楽に溺れるように揺れる腰に、黄瀬の暴走は止まることはなかった。
「ひ、ゃあ……!」
「あんま声出すと、母さんが来ちゃうよ。いいの?」
驚愕に見開いた瞳も、箍が外れた今の黄瀬にはなんの抑止力をもたらすこともなく。
「や……あ、あぁ、ッ」
「はっ、エロい声」
弱点である耳朶に歯を立てて、耳の中を舌でねっとりと掻きまわす。
艶を増す嬌声と、熟れた果実のようにジュクジュクと音を立てる身体は、もう限界が近いことの表れ。
親指で探り当てた敏感な尖りを押しつぶし、最後の瞬間を待ちわびるようにうねる襞を、黄瀬はさらに激しく追いつめていった。
「ん、ンン──……っ」
「イケよ、ホラ」
冷たい囁きと、細い腰が大きく跳ねたのは、ほぼ同時だった。