第48章 オンリーワン
「誰が──誰を好きになるって?」
顔の両側に手をついて、黄瀬は結の上に馬乗りになった。
幅の広くないソファでは、片膝をつくのが限界だったが、逃亡を阻むにはそれで十分だった。
頬に触れた指先の濡れた感覚に、頭のネジがギシリと錆びた音を立てる。
「あれは、例えば……の話で」
「へぇ。オレのこと、まだ分かってないんスね。結は」
「どこから聞いて、たんですか……?」
「そんなこと今はどーでもいい。答えて。オレが、結以外の誰を好きになるって?」
冷静に問いかけたつもりだったのに、口から出たのは自分でもゾッとするような声だった。
指を首筋に這わせると、怯えたように弾ける肩に増殖する苛立ち。
「ナニ、それ。オレのことナメてんの?」
「そんなこと……っ、やぁ」
身を起こそうとする結の肩を押さえつけると、答えなど期待していないことを分からせるように唇を覆い尽くす。
突然の出来事におののく無防備な唇に、黄瀬は舌をねじ込んだ。
「ンっ、ふぅ……ん、や、駄目……っ、ん!」
いつもとは違うキスから逃れようと、顔を背ける彼女の後を追いかけ、容赦なく食い散らす。
シャツを引きずり出し、手を這わせた素肌のなめらかさに、ズクリと疼くオトコの本能。
下着の上から掴んだ胸の膨らみを、五指を広げて強めに揉みしだくと、重なる唇から漏れる呻き声に心拍数が乱れる。
身体を押し返そうとする腕など、なんの障害にもならないことを証明するように、黄瀬は乱暴に柔肌をまさぐりながら、もう片方の手で結の下半身に手を伸ばした。
「!?や……っ、いやぁ!」
拒絶の声に、理性という名のネジが吹き飛ぶ。
網にかかった魚のように跳ねる身体を押さえつけ、ジーンズを膝まで一気に下ろすと、膝をすりあわせて抵抗を見せる足の間に、黄瀬は躊躇なく手をねじ込んだ。
思考回路がショートして、何も考えられない。
口内に溢れる唾液をゴクリと飲み干すと、細い首筋に這わせた唇でキツく吸い上げる。
「い……っ」
何度も、何ヶ所も。
所有の証を刻みながら、暴れる足を膝でこじ開け、下着の中へと手を滑りこませる。
「やだ……ん、ンっ!?」
抵抗の言葉を遮るように口を塞ぐと、まだ固い花びらを散らすように、黄瀬は指を押し込んだ。