第37章 ホーム

揺らされているのか、自分から揺れているのか。

判断する分別は、欠片も残っていなかった。

永遠に続くかのように繰り返される律動に、白い足が鳥のように宙を舞う。

濡れた肌がぶつかり合う音と、混ざりあうふたつの息遣いが、シーツを激しく、そして絶え間なく乱した。

「結……まだ、キツいか？」

汗で額に張りつく前髪の隙間を縫って、何度も落ちてくる唇を、結は目を閉じて受け入れた。

「ん、分から、ない……でも、お腹の奥、が……木吉さんでいっぱい、すごく熱、い」

「こら。いい加減、その天然発言やめないか……」

「木吉さんには、言われたくな……い、んんっ」

ぐっと押し込まれた腰に最奥を穿たれて、反らせた白い喉に歯を立てられる痛みすらもはや快感だ。

「っ、んあ！そこ、深……いっ」

「く、頭が沸騰……しそうだ。結……もう、イッていい、か？」

下腹にズクリと疼くこの感覚の終着点が、イクということならば、むしろ早くその時を迎えたい。

カラダの奥に灯されて、燻りつづけている快感の炎を早く鎮めてほしい。

結は、力の入らない腕をそっと伸ばした。

「ん。キテ……私も欲しい、木吉さんが」

「そんな殺し文句、どこで覚えたんだ……どうなっても知らんぞ」

苦しげに細められた瞳に、じわりと湧く蜜が交わりを深める。

「全部、ぶつけて」

「……結」

「好き、だから……早く、木吉さんのものに、して……全部、感じさせて」

「全く……結には敵わないな」

「なぁ、に……ンんっ！」

疑問を投げかける唇を、木吉に塞がれて。

堰をきったように流れてくる激流を受け止めながら、身も心も埋めつくされる快楽の波にあっという間に溺れていく。

「ン、ん……ぅ」

激しく突き上げてくる木吉に揺さぶられるまま、ベッドの上で結の身体は羽のように揺れた。

「く……結、一緒に、っ」

「ン、んんぁあぁ──……っ！！」

弾ける熱をカラダの奥深くで感じながら、結はようやく許された絶頂の波に身をまかせた。