第3章 ロングバージョン
「……結、だいじょーぶ?」
深く繋がり重なり合う肌は、どちらのものか分からない汗でしとどに濡れていた。
浅い息を吐く唇に、黄瀬は小さなキスを落とした。
「ん……嬉し、い。涼太とひとつになれて、幸せ」
「も、そんな可愛いコト言わないの。オレ……今、余裕ないから」
暗闇に慣れはじめた瞳で恋人の反応を窺いながら、ゆっくりと埋めこんだ屹立は、身じろぎ出来ないほどキツく締めつけられている。
「慣れるまで、ナンもしないから……もちょっと力、抜ける?」
「ん、や……もっと」
「ナニ言って……まだ動ける状態じゃ、ないんスよ。ホラ」
「ひぁ、っ」
試すように腰を揺らされて、強ばる身体が無意識に黄瀬を締めあげる。
「う、わ!ちょ、その締めつけ、ヤバ……っ」
「ン、だって」
「くぅ……息つめないで、ゆっくり吐いて。そ、う……そのまま深呼吸して」
「ふぅ、は……ぁっ」
甘い吐息が肩をくすぐるたびに質量を増す昂りが、狭い壁をトロトロと溶かしていく。
「ン、だいぶ柔らかくなってきた……少し動く、よ」
溢れる蜜の滑りを借りて、ゆるく動き始めた腰が、小さな身体をゆらゆらと揺らす。
「ど、平気?」
「アっ、ん……平、気……っ」
「キツかったら、言って」
やめてあげられるか自信ねぇスけど、と速度を増す律動が、音を立てて柔らかい肌を打つ。
「あう、っ」
「もっと……奥、いい?」
「ン、う、ん……アっ!」
腰をギリギリまで引いた後、一気に奥まで貫いてくる圧倒的な熱量に、結は喉を震わせた。
「く……ハッ、結、オレを感じて」
肩に爪をたてる細い指を絡めとり、黄瀬はシーツへと深く沈めた。
「結、オレの……」
「涼太、あッ、ん……スキ、りょーた、ぁ」
「くっ、ごめ……ちょっと、も、限界……かも」
そう言いながら、その迸る欲情は一向に果てることなく、結だけを何度も高みへと導いた。
ベッドで跳ねる身体に覆い被さり、獲物を貪るケモノのように黄瀬は恋人を翻弄し続けた。
「やぁ……も、許し、て」
「まだ、足りない。もっと、ハッ、欲しい……ダメ?」
「ダ……ひ、んぅ、あ、アっ!」
制止の声さえ霞んでしまうほど獰猛な突きあげを受け止めながら、結は声が嗄れるまで啼きつづけた。