第3章 ロングバージョン
立て続けに迎えさせられた絶頂に、結は息も絶え絶えにベッドに沈みこんだ。
感じるのは、前髪を掻き分けて落ちてくる乾いた唇と、余裕を失くして掠れるテノール。
「ね、オレ、そろそろ限界……っ、なんスけど」
こめかみに浮かぶ汗を拭うこともせず、黄瀬は手探りでサイドボードに手を伸ばした。
「お友達から餞別もらってんだけど……三箱もあるってオレ、どんだけ飢えてると思われてるんスかね」
「お、餞別……?」
朦朧とする意識の中で感じるのは、重なり合う肌から発散する熱と、下半身に押し付けられる灼熱の昂り。
「それとも……結を壊してもいいってお許し?」
クスリと笑う黄瀬の顎からこぼれ落ちる汗に頬を濡らされて、胸の奥がざわりと波打つ。
「いい……壊して、全部あげる。だから、私にも……涼太を、ちょ……だい」
「!」
「涼太、すき」
「く、結が、んなコト言うから……も、我慢の、限界……っ」
ひたりと押し当てられる欲望の猛々しさに、息が止まる。
「ンっ」
「力、抜いて……」
ジリジリと身体の中心を拓くように侵入してくる熱に焼かれ、鈍い痛みと甘い痺れに背中が弓なりに反りかえる。
「んん、痛っ……ぁ、う」
「ハッ……ごめ、ん。ちょっと待って……今、加減する余裕、が」
理性を保つように、シーツに爪を立て、深呼吸する黄瀬の背中が大きく波打つ。
「りょ……た、あっ」
「だ、からっ!こんな時に名前呼ぶとか、反則だ、てば」
「駄目、や、めない……で。痛くても、いい……涼、太をもっと、感じさせて」
時間をかけて慣らされたとはいえ、指とは比較にならない質量を受け入れることは容易ではないはずなのに、健気な恋人が愛しくて、黄瀬は唇を噛みしめた。
「煽んなって、頼む、から。結がイヤなことはしたくない……ん、スよ」
「イヤなんかじゃ……ぁ、離れないで、や、もっと」
「優しくしたいん、だってば……も、喋んないで」
唇に噛みついた黄瀬は、不用意に絡めた舌になけなしの理性を溶かされて、自分の軽率な行為を後悔した。
欲しい、今すぐに
「ハッ、結……っ」
「りょ……ん、んっ!」
本能のまま動く腰を制御できず、切っ先で感じる薄い抵抗をピリピリと突き破りながら、黄瀬はその背徳感に眉を歪めた。