第37章 ホーム
固く張りつめた下半身は、もう暴発寸前。
「ま、待って」と胸を押し返す手をシーツに沈めると、木吉は華奢な身体にゆっくりとのしかかった。
「まだ怖い、か?」
「そう、じゃありません……ただ」
うっすらと開いた瞳に浮かぶのは、少しの戸惑いと拗ねた色。
「ん?」
「なんか……余裕たっぷりな木吉さんに、負けた気がして」
こんな時まで負けず嫌いを発揮する恋人に、木吉は目尻を下げた。
「これって勝ち負けなのか?結はホント面白いな」
「だから、その余裕が……、ん」
人差し指で反論をせき止めると、木吉はバスケットボールをも片手で掴む大きな手で、むくれる頬をあやすように撫でた。
「バスケで負けるのは嫌だが」
「あ、っ」
顔をうずめた首筋から匂い立つ甘い香りに煽られるまま、何度も肌を吸い上げる。
くっきりと残るシルシは、オトコの浅はかな所有の証だと分かってはいても、淫らな花を咲かせずにはいられない。
「結には勝てる気がしないぞ。だってホラ、もうこんなに」
押しつけた腰を上下に揺らして、逃げ場はないのだと教えると、いやいやと子供のように頭を振る耳に歯を立てる。
「ひゃ、っん」
「分かるか?結が欲しくてたまらないんだ」
「や、ぁ……耳でしゃべら、ないで」
「確かめさせてくれ、結の全部を」
「ん、んっ」
先を尖らせた舌を耳の中に忍ばせると、ビクンと跳ねる反応に満たされる支配欲。
ねっとりと舐めると、今度はゆらゆらと揺れはじめる身体に、木吉は自分の腰をこすりつけた。
「気持ちイイところ、もっと教えてくれ」
「っ、そ、んなの……無理」
唾液に濡れた耳からゆっくりと口を離し「そうか、じゃあ」と耳殻をかじる口許がうっすらと綻ぶ。
「結の反応から学習するしかない、ってことだよな」
「木、吉さ……っ、あぁ」
両手で下から持ち上げるように包みこんだ胸を、緩急をつけて思うまま弄ぶ。
ゆるやかな胸の谷間を舌先でたどりながら、固く尖った先端を交互に甘噛みして、その反応を覗う上目遣いの瞳がずる賢く光った。
「コッチの方が気持ち良さそうだな」
「そ、そんなこと言わな……っ、んん!」
ようやく手に入れた獲物をなぶる肉食獣のように、木吉は濡れた肌にゆっくりと牙をたてた。