第36章 アイテム
目の前でポカンとする結の髪を意味深に梳くと、黄瀬はその黒髪にカチューシャをそっと差し込んだ。
「……え?」
「動かないで」
ほっそりとした、だが男らしさを湛えた長い指ですくい取られる真っ赤なリボンは、肌に優しいベロア素材。
チリンという音を響かせながら、細い首にゆったりとリボンを巻いて、プレゼントのように結ぶ指はその装飾に余念がない。
「何して……これは、黄瀬さんへのプレゼントですよね?どうして私が……ちょっ、くすぐったい、やめて下さい」
首を彩る首輪の赤が、白い肌に映えてオトコの支配欲を高めていくのはいとも容易い。
「可愛い子猫ちゃんの出来上がり」
「な、何言って……ぎゃっ!」
腰に巻きつく腕におもむろに引き寄せられて、背を向けた状態で黄瀬の足の間に座らせられた結は、毛を逆立てた猫みたいに暴れた。
「またそんな色気のない声出しちゃって。今日はオレの誕生日なんスよ?もっとイイ声聞かせてくんなきゃ」
頭から生えた耳を撫でながら、背後からホンモノの耳をカプリと齧る。
「んっ……そ、そうですけど……でも」
さらりとしたチュニックの裾から、当然のように潜り込む手が、下着の上から膨らみを包みこむ。
フニャリと大きな手で揉みこまれて、「ふ、ぁん」とのけぞる首を這う舌は熱く。
緩急をつける手と、肌を濡らす唇に、チリンチリンと鳴る音が、鼓膜を溶かすように妖しく響いた。
「黄、瀬さ……待、って」
「でもココ、もう固くなってきたっスよ……感じちゃった?」
「ん、んぁっ」
コリコリと胸の頂点を爪で引っ掻かれて、小さな口から出る甘い声に興奮度が上がる。
「イイ声。ご褒美に、こっちも弄ってあげなきゃ、ね」
「ひゃ」
膝から上を撫であげる手のひらが、スカートを捲りあげながら内腿を滑る。
「駄目……っ」
「飼い主の言うことを聞かないコは、お仕置きっスよ」
汗ばんでいるのは、撫でる手か、撫でられている肌か。
ショーツの端に掛けた親指に、抗う暇もなく一気に引き下ろされて、擦り合わせた膝が大きく跳ねた。
「あ、やっ」
「ダ〜メ。足開いて」
強引に膝を割られて、あらわになった素肌を空気が刺したのはほんの一瞬。
「もう濡れてる」
大きな手にザワリと撫で上げられて、湧き出す泉が黄瀬の指をしっとりと濡らした。