第35章 デコレーション
「ア……っ、ん」
口からこぼれた自分の声が、ビリビリと鼓膜を通り抜けて脳にリアルな信号を伝達。
パチリと目を開けた結は、薄明かりに包まれた空間の中、胸元をくすぐる柔らかい髪にそっと指を滑らせた。
「木、吉……さん?」
「ん?ああ、起こしたか?悪い」
布団の中からひょっこりと顔を出した木吉は、悪びれた様子もなく、濡れた唇をペロリと舐めた。
「な、何して……」
「いや。結の寝顔があんまり可愛くて、つい、な」
再び胸に深く顔をうずめ、先端を口に含む唇が、さっきまで見ていた夢とリンクする。
「あ……っ、や、やめ……て」
「止めてもいいのか?寝てても、ちゃんと気持ちよさそうにしてくれてたんだがな」
ホラ、と固く勃ちあがった飾りに軽く歯を立てられて、羞恥に暴れる腕を木吉はあっさりと押さえ込んだ。
「どんな夢見てたんだ?イイ声だったぞ」
「な……っ」
「な?」
「な、何も……」
まさか生クリームを身体に塗られる夢を見ていたなんて、口が裂けても言えるわけがない。
だが、ピタリと抵抗をやめた細い腕は、それが真実ではないと自ら暴露しているようなもの。
「そうか……じゃあ、じっくり聞くことにするか。結の身体にな」
口角をあげる唇の端から何かを企む舌が、まるで作戦開始の合図のように妖艶な姿をちろりと見せた。