第31章 チェンジ!
今度、オレにプレゼントさせてよ。結が身につけるものは全部オレが──
そう言われたのは、黄瀬が風邪をひいて寝込んでいた時のこと。
肌に優しく馴染む金の鎖は、まるで彼の髪のよう。
そして、その繊細なチェーンに通されているのは、黄瀬がかつて身につけていたピアスと、もうひとつ。
『綺麗……』
『天使の輪をイメージしたペンダントトップなんだって。もちろん、結の誕生石入りっスよ』
キラキラと光る石がまぶしすぎて、言葉が出てこない。
『こ〜ら、そればっか見てないでオレを見てよ。お礼のキスは……もうたっぷり貰ったから免除、ね』
『も、馬鹿……』
拗ねた子供のような声と、イタズラっぽく光る切れ長の瞳に、心臓が幸せの鐘を打ちはじめる。
気に入ってくれた?と鎖をたどる唇に新たな印を刻まれて。
それはまるで心を縛る鎖のように、色濃く肌を彩った。
これはオレのモノだって印
消える前にまた付けるけど……いいよね?
コツンと額を合わせる距離で交わした約束と、まだ物足りさを訴える熱視線が脳裏をよぎり、結は枕を抱えてベッドの上をひとり転がった。
「う、わっ!」
勢い余った結末は、当然ながら残念なものだった。
ドシンという音を道連れに、落下した身体に走る鈍い痛みに、ゆるんでいた顔が一瞬ゆがむ。
「い、たぁ……」
「ちょっと結!ひとりで何暴れてるのーー!?」
「な、何でもなーーい!!」
階下から響く声になんとか返事をした結の顔は、黄瀬が見たらお腹を抱えて笑うほどに崩壊していた。