第17章 ハングリー?
照明が落とされた体育館を包む静寂の中、高窓から差し込む月明かりだけが、重なり合うふたりの姿を淡く照らし出す。
「ん、ふぁ……黄瀬さ、っ」
「ダーメ。名前で呼んで、さっきみたいに」
「あ、ぁ……りょ……っ、ん」
深く重ねた唇の隙間から、懸命に応えようとする声すら奪うように、黄瀬は口内を激しく貪った。
「ん、ふ……ぁ」
「オレの熱、もう結しか下げらんない。だから……」
濡れた唇をペロリと舐めて、顔をうずめた首筋の熱に、体温が一気に上がる。
舌を這わせた肌の甘さに、アトを残さないように耐えるのが精一杯だ。
白いTシャツの裾から侵入した手で、押し上げた下着に隠されていた膨らみのやわらかさに触れて、黄瀬は熱い息を吐いた。
「ハ、説教なら後で聞くからさ、ね……最後までシよ?」
「駄……目、これ……ユニフォーム」
舞台の上、硬い床から少しでも守るように敷いた青いユニフォームを乱す姿に、だが欲情は増すばかり。
「心配すんのソコ?結はさ、自分のことを心配した方がいいと思うんスけど」
「あぁ……っ」
捲りあげたTシャツから現れた胸を頬で味わいながら、黄瀬は結のズボンに手をかけた。
器用な手で下着ごと脱がされて、結は羞恥にその身を震わせた。
「や、っぱり、こんな所……じゃ」
「でも、結も欲しかったんでしょ?」
なめらかな肌を滑べる指先が、何かを確認するように内腿に潜りこむ。
「あ、んっ」
「ホラ……こんなに濡れて」
溢れる蜜を塗り拡げていた指先をつぷりと差し込まれて、結は白い喉を見せて声をあげた。
「アぁ、あ……っ!」
黄瀬は、同時に敏感な尖りを親指で押し込むと、その快感を受け入れるように潤いを増す襞に、深く指を突き立てた。
足の途中で引っ掛かっていたジーンズは、身を捩る度に足首へと落ちていく。
「やっ、いきなり……深、っ」
「でも、オレの指こんなに食い締めて……そんなに飢えてたんスか」
「や、言わない……で、ぁあっ、いや……そこ」
黄瀬は「ウン、知ってる」と増やした指で、高みへ引き上げるように刺激を送り続けた。
「あ、アっ、んん……っ!」
結は擦り合わせた膝で、訪れる快感を離さないように、たくましい腕をキツく挟み込んだ。