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【黒バス】今夜もアイシテル

第17章 ハングリー?



「プハッ!」

お腹を抱えて笑い転げる黄瀬を、結は恨めしそうに睨んだ。

「そんなに笑わなくても……」

「だってクマって……想像したら、さ……ぷっ」

「ム」

笑いが止まらないという様子の黄瀬の唇を、自分の唇で塞いだのは無意識だった。

チュッと音をたてて離れると、目の前の端整な顔が驚きと歓喜でほころぶ。

「え……っと、何スか?この美味しい展開」

「し、知りません」

「ハハ。お腹をすかせたクマさん、もっと食べてもいいんスよ」

「だから、クマじゃ……」

「そういえば、オレも腹ペコ」

「え」

お返しとばかりに重なってくる唇に、結は口を開いて応えていた。

「結からのキス、スゲェ好き」

「黄瀬さ、ン」

啄むようなキスを受け止めながら、身体の奥に湧き上がる疼きは夏祭りの夜と同じ。

駄目だと分かっているのに、高ぶる気持ちを抑えることは出来なかった。

「耳……まだ痛みますか?」

「腫れはもう引いてるから大丈夫っスよ」

傷に障らないように唇で耳に触れると、その輪郭にそっと舌を這わせる。

「ン、それ……ヤバいって」

そう口では言いながら、続きをせがむように押しつけてくる耳を、結は軽く歯で噛んだ。

「っ、く」

「りょ……た」





その囁きに、黄瀬は切れ長の目を見開いた。

「今、なんて」

首に縋りついてくる身体を抱きしめながら、ありえない期待に胸が膨らむ。

「どーしたんスか?なんか身体アツいけど」

「う、ん……熱い。溶けそ」

「結……」

ふたりきりとはいえ、ここは体育館。彼女にとって絶対に受け入れられない場所のはず……だが。

「ね。このままココでエッチ、する?」

「ばっ、何言って!そんなの、駄目に決まってます!」

真っ赤な顔でフーフーと毛を逆立てる様子は、熊というより猫。

彼女の家の猫でさえ初対面で懐いたのに、目の前の猫はいつまでたっても甘え下手。

「そんな物欲しそうな顔してるくせに、素直じゃないんだから」

「悪かったですね。素直じゃなくて」

(物欲しそうってのは否定しないんスね)

「もうオレのせいにしていいから。ハイ、コレ持って」

「な、何……わっ!」

黄瀬はカバンを結に預けると、有無を言わせないとばかりにその身体を抱き上げた。



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